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代謝内科・生活習慣病

動脈硬化

動脈硬化とは

動脈硬化は、悪玉コレステロールが動脈壁で変性し、炎症を起こすことによって起こります。高血圧や糖尿病・脂質代謝異常などを合併すると、動脈硬化を起こしやすく、またその進行を早めます。
動脈硬化性疾患(脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・下肢の閉塞性動脈硬化症、大動脈瘤など)が発症するまでは特に症状はなく、発症してしまうとそれぞれの臓器に大きなダメージを残してしまいます。
そのため、動脈硬化を早期の段階から診断し、進行を防ぐことが重要になります。
当クリニックでは、血管内皮細胞(血管の内側にある細胞)の機能検査であるEndoPAT(エンドパット)を用いた検査を開院時より行い、予防治療にも重点を置いています。なお、当検査は血液採取の必要はなく、指先の圧迫を行うだけですむ、侵襲の少ない検査です。

高脂血症

高脂血症とは

高脂血症は、低HDLコレステロール血症も含めて、最近では脂質代謝異常症と呼ばれ、血清脂質(コレステロールや中性脂肪)が異常に高い場合と低い場合を表します。
過剰なカロリー摂取(脂肪・炭水化物やアルコール)・運動不足、さらに、糖尿病や甲状腺機能異常・ネフローゼ症候群に伴う二次性高脂血症と遺伝性高脂血症があるので、原因を明らかにして治療をする必要があります。
なかでも、アキレス腱の肥厚や黄色腫を伴い、家族性に発症する家族性高コレステロール血症は、若年から重症の動脈硬化性疾患(急性心筋梗塞など)を発症するので、若年時からの薬物治療が必要です。
高脂血症だけでは症状はありませんので、動脈硬化性病変の検査を施行する必要があります。

糖尿病

糖尿病とは

血糖すなわち、ブドウ糖は脳のエネルギー源として欠かせないものです。
70mg/dl以下の低血糖では、意識消失発作(失神)を起こすこともあります。血糖は小腸で吸収されて、インスリンを介して肝細胞に取り込まれ、グリコーゲンとして貯蔵される他に、脂肪合成の材料として用いられます。
しかし、血糖が必要以上に高い糖尿病では、小さい血管の障害を介して末梢神経・網膜・腎臓を傷害するとともに大きな血管を傷害し、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・下肢の閉塞性動脈硬化症・大動脈瘤などを起こします。そのため糖尿病のみでなく、糖尿病予備群の段階からの対応が求められます。幸いにも2011年以降、新たな糖尿病治療薬が次々に出てきており、治療も著しく進歩しています。
このような進歩の恩恵を受け、大量のインスリン注射を必要とするような人も減ってきています。糖尿病が強く疑われる肥満の人や急に痩せてきた人などは、糖尿病の有無について検査をして、必要に応じた治療を開始しましょう。

高尿酸血症

高尿酸血症とは

尿酸は、主に細胞に存在する細胞核のプリン体が分解されてできたものですが、レバー・魚卵・干ものなどの食物由来のものも約20%あります。
尿酸は主に腎臓から尿中に排泄され、血清レベルが一定以上にならないように調節されています。高尿酸血症は、原因として産生過剰型・排泄低下型と混合型がありますが、多くの場合が排泄低下型です。高尿酸血症を放置すると、尿酸が関節や皮下などにたまって激しい痛みを伴う痛風発作を起こします。痛風発作は血清尿酸値が正常レベルでも起きますが、多くの場合には8.0mg/dl以上で発症します。発症時には消炎鎮痛剤で対応し、炎症が落ち着いてきてから、その原因に応じて尿酸生成抑制薬もしくは尿酸排泄促進薬を投与します。
従来は、排泄を促進させる薬のほうが、合成を押さえる薬より血清尿酸レベルの低下作用が強かったのですが、最近では、強力で有害事象の少ない尿酸の産生を抑える薬剤が開発され、多くの患者さんに使われています。

甲状腺疾患

甲状腺疾患とは

甲状腺は首の前方、のどぼとけの下の方にあります。
甲状腺は、身体の新陳代謝を盛んにするホルモンを作る臓器です。甲状腺ホルモンが過剰になると、動悸・汗を多くかく・食欲はあるのに痩せる・手指の細かい震えなどが起きます。逆に、甲状腺ホルモンが不足すると、しもやけになりやすい・疲れやすい・むくみが出る・胸に水がたまるなどの症状が出ます。
甲状腺の病気は20~50代の女性に多い病気です。甲状腺ホルモンを測定するとともに、エコーで腫瘍など病変の有無を診る必要があります。

メタボリックシンドローム・脂肪肝

メタボリックシンドロームとは

メタボリック症候群は、ウエスト径の増大に加えて、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)以外の脂質代謝異常(※)・糖尿病・高血圧のうち、2つ以上に異常を認めた場合に診断されます。
※脂質代謝異常とは、中性脂肪>150mg/dl、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)<40mgdlを言います。
世界中の国々で診断基準が異なるため、ウエスト径を必須とする日本人の診断基準は、日本でのみしか用いることはできませんが、特定健診などで指摘された場合には、速やかに治療する必要があります。
メタボリック症候群の原因は過剰な内臓脂肪ですが、メタボリック症候群の人は他にも多くのリスクを併せ持つために、それぞれの異常の程度は小さくても、動脈硬化性疾患(脳卒中・狭心症・心筋梗塞)の高リスク群になります。日本では40~70歳のうち、男性の20%、女性の5%が相当すると考えられており、内臓脂肪の軽減を中心に生活習慣の改善から治療を始めますが、合併する病気についてはそれぞれ薬で治療します。

脂肪肝とは

肝臓に脂肪がたまり、組織学的には面積の30%以上が脂肪滴で占められる場合を脂肪肝と診断します。
通常は、腹部CTや腹部エコーで診断されます。肝臓は過剰なアルコール・ブドウ糖・脂肪酸が運んで来られると、中性脂肪として蓄えます。その中性脂肪が蓄積した状態を「脂肪肝」と言います。
肝臓に蓄積した脂肪が炎症を誘発し、その結果、線維化が生じると脂肪性肝炎となります。さらに肝硬変へと進みますが、一部は肝癌を発症します。
最近では、アルコールをほとんど飲まない人に起こる非アルコール性脂肪性肝炎(ナッシュ)が日本では急激に増加しています。
脂肪肝は、肥満・糖尿病・脂質代謝異常を合併することが多く、生活習慣病として治療します。

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