院長日記

イタリアの第二次世界大戦終戦記念日に遭遇して

2016/02/10

 昨年の5月27日、アムステルダムで開催された国際動脈硬化学会の帰りに イタリア中部にあるフィレンチェのフィレンチェ北ロータリークラブの例会に出席してきました。当日は晴れで、例会は有名なメデイチ家の別荘であったGrand Hotel Villa Mediciのサロンで午後7時15分から始まりました。フィレンチェ北ロータリークラブの会員は73名で、1974年創立ということです。日本とは異なり、会員の方は三々五々、集まられるようで、7時25分に幹事の方がフロントに来て、サロンに案内されました。会場は、10席分のイスと一つの大きなテーブル、ほかには別室に軽食・アルコールが準備されているだけで、ほとんどの会員は立ったままと言う簡素な会合でした。私自身は外国のロータリー例会参加は初めてで、とまどいと緊張を感じていましたが、サロンに入るなり、会長さんが私のところへ挨拶に来られ、今日はイタリア語で会長懇話をするので申し分けないと話されるとともに、すぐに自己紹介をするように言われました。私は英語で自己紹介しました。広島南ロータリークラブ会員の循環器内科の医師で、フィレンチェは大好きな町ですと話し、会員の皆さんと個々に握手しながら、挨拶を交わしました。その後、会長は、会長席で立ったまま、約30分間話されましたが、懇話開始直後から、私の席の横には国際弁護士の方が座ってくださり、会長の話の内容を英語でわかりやすく通訳してくれましたので、概要はよく理解できました。ちょうど1945年5月24日がイタリアの終戦記念日だったために、戦後70年を記念してイタリア全土のロータリー記念大会を開催するとともに、記念行事として戦争で行方不明となった有名な画家の絵を3点探し出し、イタリア国内の元々あった美術館に寄付したと言う内容でした。また、この名画を探し出す過程で、まだまだたくさんの名画が行方不明であることがわかり、今後もこの活動を続けると話されていました。
 
 われわれ日本人にとっては8月15日が終戦記念日ですが、戦後生まれが国民の75%を占めるまでになりました。平和であったこの70年間をどう評価するかで、日本国内の意見が割れている現状を考えると、イタリアではまったく違った角度から自国の長い歴史的文化財産をしっかり引き継いでいこうとされていることがわかり、私にとっては新鮮で、かつ感慨深いものがありました。いずれにしても戦争は個人の単純な死にとどまらず、その人が成し得たであろう社会的貢献やそれまで多くの人が営々と築いてきた文化的遺産までなくしてしまいます。

 帰り際に、会長さんとの写真を撮って頂き日本の皆さんにもよろしく伝えてくださいと言う伝言とお土産にクラブの旗をいただきましたが、私にとっては、どきどきの40分間でした。会長がたまたま心臓外科医であったこともあり、イタリア語以外で話される内容はなんとか通じ合えたので、いままでの海外旅行にはなかった、楽しい思い出になりました。

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